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「ミドルシニア人材の活躍を考えるコミュニティ」
コンソーシアムを開催

ミドルシニア人材の活躍を考えるコミュニティ

人的資本経営への注目や人手不足の深刻化などを背景に「ミドルシニア人材の活性化」に期待が高まっています。
しかし、その実現には社内制度の変革や研修の実施、個別の伴走支援など、多岐の領域に渡る施策が必要です。
これらの施策を自社の環境や組織文化に適した形で立案し実践するのは、決して容易ではありません。
企業の担当者はどのようにして取り組みに着手すればよいのでしょうか。

こうした課題を受けて、パーソルキャリアコンサルティングが開催しているのが
「ミドルシニア人材の活躍を考えるコミュニティ」のコンソーシアムです。

本コンソーシアムはミドルシニア人材の活性化に取り組む企業の担当者が集い、
6ヶ月間全6回の対話型プログラムを通じて情報交換や施策立案につながる観点やアイデアの探求などに取り組みます。
2023年10月にスタートした第2期のプログラムには幅広い業界から17社が参加し、
3つのテーマで課題解決に向けた議論が展開されました。
なぜ本コンソーシアムが開催されるに至ったのか。その狙いやプログラムの具体的内容とは。
そして、参加者たちにはどのような効果がもたらされたのか。
運営を担当する事業推進部の石川嘉延さんと山口裕二さんに伺いました。

コンソーシアム参画企業

■コンソーシアム開催の背景
課題を持ち寄り、対話を通じてミドルシニア人材活性化の「答え」を模索する

「ミドルシニア人材の活躍を考えるコミュニティ」のコンソーシアム(以下、本コンソーシアム)がスタートした経緯や狙いをお聞かせください。

石川さん(以下、石川):企業における従業員の年齢構成が高齢化するなかで、多くの企業で「ミドルシニア人材」に対する課題意識が高まり、当社にも以前から数多くのご相談をいただいていました。特にコロナ禍以降は、人的資本経営への注目や「総じて人手不足」という状況を背景に、ミドルシニア人材にどう継続的に活躍してもらうかという観点でのご相談が増えたように思います。今や、ミドルシニア人材を活性化できるかどうかは、組織に様々な影響を与える課題になっています。

しかし、それに対応するための方法論が確立されているかといえば、そうではありません。多くの企業がミドルシニア人材の問題を先送りにしてきた側面があり、ロールモデルとなる企業が存在していないのが実情です。そこで、日頃試行錯誤を続けている企業の担当者の方々を招き、それぞれの課題や知見を持ち寄ってミドルシニア人材の活性化に向けた方策を練り上げることを目的に、本コンソーシアムが立ち上げられました。

本コンソーシアムは、企業の担当者が課題や知見を共有する「場」であるということですね。

石川:そうです。本コンソーシアムはすでに2期実施していて、一期目はどちらかといえば知識や課題の共有が中心でしたが、2期目は1期目の学びを踏まえて今後の施策立案に繋がるような観点やアイデアを具体的にアウトプットすることにチャレンジしました。担当者同士が集う「場」であるとともに、そこで創出した新たなアイデアをそれぞれの企業にフィードバックする「経路」の役割も果たしたいと思っています。

セミナーや講習会ではなく、参加者同士の対話を中心としたコンソーシアムという形式を選んだ理由はあるのでしょうか。

山口さん(以下、山口):ミドルシニア人材の活性化は極めて複雑な問題で、研究などで解決策の結論が得られているわけではありません。専門家や研究者ですら答えを有していないテーマといっても過言ではないでしょう。

そのため、一方通行で知識をレクチャーするよりも、日々課題に直面している参加者同士が対話をして、抽象的課題と具体的事例を行き来しながら解決策を模索するほうが有効なのではないかと考えました。今やミドルシニア人材の問題は多くの企業にとって共通の課題ですし、参加者の皆さんは課題解決に向けて熱い思いを持っているはずです。そうした方々が対話するからこそ導き出せる答えがあると思います。

石川:また、副次的な効果ではありますが「仲間ができる」というのもコンソーシアムのメリットだと思います。数々の経営課題が山積するなかで、ミドルシニア人材に関する施策を推進しようとすれば、社内のさまざまな人と調整したり、時にはぶつかったりすることがあるでしょう。そうしたなかで、担当者は一人で課題を抱えがちです。だからこそ、社外の担当者たちと集って、同じ課題を抱える者同士で温度感を共感しながら議論することに意味があります。ここで得たモチベーションや勇気は、自社で施策を推進する際の原動力になるはずです。

そのため、私たち主催者側は、過度に議論に介入することはせず、あくまで参加者の皆さんの繋がりを促すサポート役に徹します。もちろん前提を共有せずに対話を行うとコミュニケーションが混乱してしまうため、参加者の課題感を整理するためのオリエンテーションやパーソル総合研究所の研究員からの事前レクチャーは実施します。ただ、基本的には参加者が主体的に議論を進め、共創の形で課題解決にたどり着くのが理想だと考えています。

 

■コンソーシアムの内容
キャリア自律やリスキリングの「その先」を見据える、3つのテーマを設定

本コンソーシアムの第2期では「①キャリア自律の手法・方策」「②キャリア自律の先の活躍」「③キャリア自律に必要なリスキリング」の3つの検討テーマで対話が行われました。この3つのテーマが設定された理由をお聞かせください。

山口:1期目は特別なテーマを設けずに対話や情報共有を行ったのですが、そのなかで参加者の関心が特に高く頻繁に議論されていたのが、この3つのテーマでした。そのため、2期目にはこの3つをテーマに絞ってプログラムを行うことにしました。

また、私たちも、これら3つは今まさに議論するべきテーマだと考えました。本コンソーシアムの参加企業に限らず、ミドルシニア人材のキャリア自律を促す企業は増えています。しかし、研修の実施など単体の施策だけでは、際立った成果が得られていないのが実情ではないでしょうか。

そこで、「①キャリア自律の手法・方策」で、ミドルシニア人材のキャリア自律についてより深く考察し、そのためにはどのような施策を展開すべきなのかを構想します。さらに「②キャリア自律の先の活躍」で、キャリア自律の先に描ける将来像やそれによって得られるメリットについても具体化して、ミドルシニア人材のキャリア自律へのモチベーション向上を図ります。そして最後に「③キャリア自律に必要なリスキリング」で、ミドルシニア人材が活躍するためには、どのようなスキルをどのように学べばよいのかを掘り下げました。

石川:昨今のリスキリングのブームを背景に、オンラインで手軽に学習ができるサービスやツールが広く普及しました。こうしたサービスを導入する企業も格段に増えています。しかし、参考書を揃えれば定期テストの点が上がるわけではないように、環境を整備したからといって従業員のスキルがアップデートされるわけではありません。「③キャリア自律に必要なリスキリング」では、リスキリングの具体的な方法やメニューなどの議論以上に、なぜリスキリングが必要なのか、どうすればリスキリングに対する意欲が高まるのか、といった観点の議論が多かったように思います。

 

■コンソーシアムの効果
「先進的な施策を導入するだけでは駄目」。対話を通じて、自社に最適な課題解決策を見極める

本コンソーシアムを運営するなかで印象に残っているエピソードがあればお聞かせください。

山口:「シニア人材」については、とかく「学びに対して消極的」「仕事へのモチベーションが向上しない」など、ステレオタイプ的なシニア像を前提に社内で議論が展開されることが多いと思います。しかし、実際は、学びに対して積極的なシニアももちろんいます。このコンソーシアムでは、シニアのポジティブな側面にフォーカスを当てて、議論が展開されていくケースが数多くありました。おそらく普段は言えない本音を吐露し、それを他の参加者が受け止めてくれることで、前向きに考えようという意識が芽生えるのだと思います。これは異業種の参加者と共感ベースで議論するからこそ得られる効果ではないでしょうか。

石川:私は「先行事例・施策を参照し自社に導入することの難しさ」ということを強く実感できたのが印象的でした。例えば、ある参加者の企業ではすでにジョブ型雇用が導入されていたこともあり、他の参加者はその方からキャリア自律に関する一つの解が得られるのではないかと期待していました。たしかにキャリア自律とジョブ型雇用はセットで語られることも多いため、ジョブ型人事制度の導入によってキャリア自律が促進されミドルシニアの課題も解決に近づいていく、そんな材料が得られるのでは、という期待感があったと思います。しかし、蓋を開けてみると、ジョブ型雇用を導入しているその企業にもミドルシニア人材の課題はやはり存在しており、ジョブ型人事制度を導入したとしても決して一筋縄ではいかないとのことでした。仮に世間的には「伝家の宝刀」のように思われていても、実際には単一の施策で課題を解決できるわけではなく、また他社で成功していることを参考に自社に導入しようとしても、組織風土やこれまでの人事施策のコンセプト・方針など、様々な違いから、こちらも実際には一筋縄ではいかない、ということを参加企業の皆様と、実感値をもって改めて気付けたのは良い経験だったと感じています。

ただ一方で、多くの企業が共通の課題を有しているのも事実です。日本では多くの企業が職能等級制度などに代表される人事制度を有し人材マネジメントを行ってきたため、課題が似ていくのも当然といえます。しかし、かといって、すべての企業が同じ施策を実践すればよいわけではない。企業は組織の規模や業績、従業員構成、人事制度、組織文化などによって、適切な施策のあり方も異なります。本コンソーシアムでも、その点に留意しながら、それぞれの参加者が自社に適した施策を見出していく過程は大変興味深いものでした。




参画企業による考察(コンソーシアムレポートより抜粋)

それでは最後に、ミドルシニア人材の活性化に取り組む読者にメッセージをお聞かせください。

山口:ミドルシニア人材の活性化の問題は、終身雇用制度など日本の雇用慣行と密接に結びついた構造的な問題です。そう考えると、従業員の側だけが独力でキャリア自律を図るのは困難なのではないかと思います。もしミドルシニア人材にキャリア自律を促すのであれば、従業員だけでなく、企業側や外部人材など複数の人々が力を合わせて仮説を検証しながら解きほぐしていくべきではないでしょうか。その仮説検証の場として、本コンソーシアムを活用していただきたいと思っています。

石川:先ほど山口が述べましたが、ミドルシニア人材の活性化の問題は、これといった解決策が確立されていない未開拓の領域です。さらに、もはや先送りのできない喫緊の課題でもあります。こうした問題に向き合ううえで、同じ悩みを共有する同士と協力できる環境は非常に有用だと思います。少しずつでもよいので問題を解決していきたいという方に、ぜひ本コンソーシアムにご参加いただきたいと思っています。

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コンソーシアム第2期
ミドルシニア人材の活躍を考えるコミュニティレポート

<ミドルシニア人材の活躍を考えるコミュニティ>
第2期 コンソーシアムレポートダウンロード
「参画企業の取り組みと今後への考察」

<参画企業>※順不同、敬称略
株式会社アイ・エス・ビー、エーザイ株式会社、JSR株式会社
株式会社大阪ソーダ、小野薬品工業株式会社、花王株式会社
京セラ株式会社、株式会社千葉興業銀行、中外製薬株式会社
グリコマニュファクチャリングジャパン株式会社
ニデック株式会社、日清食品ホールディングス株式会社
三井化学株式会社、株式会社メガネトップ、森永製菓株式会社
サンスター株式会社、CTCテクノロジー株式会社

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