「キャリア自律支援」からのアプローチ
キャリアについては、学術的なものから、様々な有識者・ビジネスパーソンによる提言・意見まで、様々な見方・考え方があり、何か唯一のフレームワークがあるわけではありません。
「キャリア自律向上」の鍵は、従業員のキャリア自律の状態・段階を把握し、それに即した取組みを整えることです。
従業員自身が、キャリアに関心があるか、キャリア形成を自分ごととして捉えているか、具体的な行動計画を模索している段階か、などキャリア自律の状態・段階は、様々です。一過性の対処療法的な施策ではなく、従業員のキャリアにおける長いロードマップを見据えて、年代ごと/状態ごとの多角的なアプローチが必要です。
ここでは、ミドル・シニア期に訪れる課題(ミドルシニア課題)の予防と対処として、「キャリア自律」について、キャリア自律の意味や意義を理解しながら、パーソルキャリアコンサルティングのアプローチをご案内します。
※パーソルキャリアコンサルティングでは、ミドル:40~54歳/シニア:55~69歳と定義しています。
キャリア自律とは 01 キャリア自律=世の中に合わせて変化適応していくこと
「キャリア自律」とは、個人がキャリアについて自分なりの考えを持ち、自身の力でキャリアを切り拓くことです。
そのためには、時代の変化に合わせた適応と、戦略的なキャリア創造の継続が必要です。
変化する世の中や組織の需要(Must)を踏まえて
WillやCanをアップデート(適応)することが必要
Will
はたらく意欲・目的・価値観
Can
能力・スキル(ポータブル・専門)
Attitude
スタンス・態度
Behavior
振る舞い・行動
WillやCanが世の中や組織のMustに応じて
定期的にアップデート(=変化適応)されることで、
可能性や選択肢が多様化される
世の中や組織の需要(Must)を踏まえたWillや
Canのアップデートが出来ないと不活性に繋がる
働かない
戦力にならない
扱いづらい
可能性・選択肢の減少・喪失
“居場所”や“自己肯定感” が失われ、
社内失業状態に
社外の選択肢も限られる
変化適応できないと、誰もが不活性になりえる時代。
企業には変化適応に向けた行動支援、
働き手には変化適応に向けた行動が求められる
キャリア自律とは 02 キャリア自律を構成する/要素・概念を理解する
「キャリア自律」を構成する要素や概念を理解することもキャリア自律施策を進めるうえでの大きなヒントとなります。
ここではキャリア自律を構成する要素や概念がどのようにあるのかを理解しましょう。
キャリア自律を構成する要素・概念
職業的 自己イメージ の明確さ |
●自分の能力を発揮できる仕事上の得意分野が見つかっている ●自分はどんな仕事をやりたいのか明らかである ●自分は何を望んで今の仕事をしているのかわかっている |
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主体的 キャリア形成 意欲 |
●自分のこれからのキャリアについて関心が高い ●これからのキャリアを、より充実したものにしたいと 強く思う ●キャリア設計 (職業生活の設計) は、自分にとって重要な課題である ●これからのキャリアをどう歩むべきか、時々考えている |
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キャリアの 自己責任自覚 |
●納得いくキャリアを歩めるかどうかは、自分の責任だと思う ●キャリア形成は、自分自身の責任である ●納得いくキャリアを歩めない原因と周囲の環境はあまり関係ない ●キャリアは周りの環境によって決められていくとは思わない |
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職場環境変化 への 適応行動 |
●新しい環境や状況にも、比較的早くなじんで対応している ●職場環境がどう変わっても動揺しないで対応している ●新しい職場に移ってもすぐに自分らしさを発揮している ●職場の制度や仕事が変わってもすぐ対応している |
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キャリア 開発行動 |
●自分の職種、業界分野における最新動向を常に情報収集している ●仕事のために新しいことをいろいろ勉強している ●社会・経済の動きや成り行きに関する情報を、積極的に収集している ●新しい知識・技術を積極的に学ぶように努めている |
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ネットワーク 行動 |
●新しい人間関係が構築できるように、社内外の活動に積極的に参加している ●仕事と直接関係ない人とも積極的に交流するようにしている ●新しいネットワークづくりに常に取り組んでいる |
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主体的 仕事行動 |
●自分の価値観やポリシーを持って仕事に取り組んでいる ●自分の満足感を高めるように、仕事のやり方を工夫している ●常に自発的に仕事を行っている ●仕事の進め方や企画を立てる上で、今までの延長上のやり方ではなく、自分なりの発想を持って取り組んでいる |
出所:パーソル総合研究所 「従業員のキャリア自律に関する定量調査」
キャリア自律とは 03 キャリア自律の効果
「キャリア自律」が高い層は、仕事のパフォーマンスやワークエンゲージメント、学習意欲が高く、
結果として仕事の充実感や人生満足度が高いと言われています。
■ 調査結果/キャリア自律度が高い人材は、仕事のパフォーマンスやワーク・エンゲイジメント、学習意欲が高く、仕事充実感 ・ 人生満足度も高い
キャリア自律と各成果指標 / キャリア自律度の高低別
出所:パーソル総合研究所 「従業員のキャリア自律に関する定量調査」
キャリア自律実現へのステップ 01 キャリア自律が促進しない要因を理解する
キャリア自律支援の課題は、「関心」「気づき」の継続と深掘、そして「準備」「行動」への移行といえます。 キャリアに向き合うきっかけは提供できていても、それを深めたり、継続したりする仕組みがないと、一過性となり、キャリア自律への準備・行動へと繋がりません。一過性ではなく、ロードマップを意識した一貫性ある施策が必要です。
キャリア自律支援施策の課題は「関心・気づき」の継続・深堀と「準備・行動」への移行
キャリア自律 ステージ |
無関心期 | 関心期 | 準備期 | 行動期 | 決定期 |
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意識 行動変容の 段階 |
キャリアチェンジの 可能性についての 認識が無く、自分が 変わる必要性を |
自分に起こる複数の キャリアシナリオを 理解している |
選択肢を具体化するた めの準備をすると共に、 納得のいく選択につい て考え始めている |
未経験の選択肢に ついても、 具体的 かつポジティブな 認知を持っている |
自らの基準をもとに 選択肢の中から 決定を行っている |
主な 現行施策 |
キャリア研修 |
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現行施策の 主な課題 |
きっかけは提供 できているが、 研修後に関心や 気づきを継続できず 一過性になる |
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キャリアそのものを 広く考えたり、 自分の可能性を知る 機会・仕組みがない |
キャリアそのものを 広く考えたり、 自分の可能性を知る 機会・仕組みがない |
キャリア自律実現へのステップ 02 キャリア自律のゴールとステップを理解する
キャリア自律にもゴールやステップが存在します。
ゴールに向けて、ステップを踏むことによって、主体的なキャリア形成につながります。
キャリア自律のステップ
- 気づき・理解
-
行動
きっかけ - 目標設計
- 納得強化
- 実践
-
振り返り・
再設計
- 自身のキャリアを自身で考える必要性に気付く自身のキャリアの強み・課題、会社からの期待、世の中の変化を理解できる
- 行動を起こす
きっかけを作る - 自身のキャリア
目標や行動計画
を立てる - 立てた目標や行動計画に対して自己納得度が高まる
- 立てた目標や行動計画を実践・推進する
- 目標 行動を振り返り、自身のキャリア目標や行動を再構築することができる
キャリア自律のゴール自律的に自身のキャリアを開発し、
実行できる力を養うこと
「対話」からアプローチする 01 対話による間接的な支援でキャリア自律を促進
これからのキャリア形成について、これまでの終身雇用が前提で会社がキャリアを作り、定年後は再雇用で働くこと以外の選択肢をあまり考えないキャリア形成のモデルから、個人が自分のキャリアにオーナーシップを持ち、いくつになっても社内外の広い選択肢を視野にキャリアを開発していく主体的なキャリア形成のモデルに社会全体がシフトしつつあります。
パーソルキャリアコンサルティングでは、従業員本人へのキャリアを考える機会提供だけでなく、キャリアオーナーシップを高めるためには管理職からのサポートや社内キャリアコンサルタントへの相談窓口設置といった間接的な支援も大切だと考えています。
「キャリアについての対話の機会」を増やすことで、キャリア自律が高まり、ワークエンゲージメント・学習意欲・パフォーマンスの向上が見込め、組織全体の生産性向上につながります。
「対話」によるサービス体系
サービス(メンバー向け)
●キャリア研修
●キャリアカウンセリング
サービス(管理職向け)
●管理職向け研修
●コーチング
サービス
(企業内キャリアカウンセラー向け)
●カウンセラー育成プログラム
●カウンセリング室立ち上げ支援
専門家との対話
研修/キャリア
カウンセリング(外部)
上司との対話
1on1などキャリア面談で
部下のキャリア自律を支援
社内第3者との対話
キャリア相談窓口社内の第3者による専門的なアドバイス
本人
本人への支援と上司や
キャリアカウンセラー
からの
間接的な支援によって
キャリア
自律力の向上