事例紹介
ベテランの貢献を
事業成長の活力へ
ミドルシニアのキャリアプラン
株式会社メガネトップ
キャリア自律支援への取り組み第一歩
定年退職という人生のターニングポイントがなんとなく視野に入り始めるミドルシニア世代。
従業員によっては、モチベーションの低下とともに、引退モードに突入してしまうケースも少なくありません。
株式会社メガネトップでは、在籍中のミドルシニア従業員を
「かつて自社を業界ナンバーワン企業に押し上げてくれた功労者」として尊重しています。
がむしゃらに走り続けた軌跡があるからこそ一度立ち止まり、
その後の人生に想いを馳せる機会を設けてもらいたいとキャリア研修を導入。
その結果、ミドルシニア従業員のマインドに変化がもたらされたと言います。
一体どのような研修が彼らに気づきをもたらし、マインドを動かしたのか。
導入の背景からその効果について伺いました。
従業員によっては、モチベーションの低下とともに、引退モードに突入してしまうケースも少なくありません。
株式会社メガネトップでは、在籍中のミドルシニア従業員を
「かつて自社を業界ナンバーワン企業に押し上げてくれた功労者」として尊重しています。
がむしゃらに走り続けた軌跡があるからこそ一度立ち止まり、
その後の人生に想いを馳せる機会を設けてもらいたいとキャリア研修を導入。
その結果、ミドルシニア従業員のマインドに変化がもたらされたと言います。
一体どのような研修が彼らに気づきをもたらし、マインドを動かしたのか。
導入の背景からその効果について伺いました。

株式会社メガネトップ
人材開発本部 教育部 部長 舛井 達朗氏
2007年にメガネトップに入社。店頭で販売員として従事し関東地区で店長に就任。その後2011年に教育部に配属し全社教育を担う。新しくメンター制度を整備、幹部候補者登用を目的とした選抜型の教育を構築。2023年に国家資格キャリアコンサルタントを取得。

キャリア研修導入のきっかけ
功労者として活躍したミドルシニアに、今後も若手を牽引してもらうために
私たちがパーソルキャリアコンサルティングのキャリア研修を導入したきっかけのひとつは、メガネトップの企業規模が飛躍的に拡大してきたことにあります。従業員数5000人まで組織が大きくなっていくなかで、今後も事業成長していくために、また従業員のエンゲージメント向上のためにも自らのキャリアを振り返る機会を設ける必要があると考えました。従業員自身にもこれまでの軌跡を見直し、今後の道筋について考えるためのきっかけにしてもらいたいと思ったのです。
日本の労働生産人口が減少しているなかで、メガネトップも特に店長職のミドルシニア層(特に45歳以上)の比率は増えています。彼らのパフォーマンスを停滞させるのではなく、いつまでも生き生きとキャリアを重ねてもらいたい。特に彼らは、10年前に私たちが売上高業界一位を達成した渦中にいた功労者であり、今後のキャリアを定年から逆算した引退モードではなく、若手を牽引してもらう存在であり続けてもらいたいわけです。そんな願いのもとに、相談させていただいたのがパーソルキャリアコンサルティングだったのです。
会社としてはもちろんのこと、パーソルキャリアコンサルティングとキャリアについてのディスカッションを進めていく中で、実は私自身も2023年にキャリアコンサルタントの資格を取得しました。自身が40歳を迎えいよいよミドルシニアに突入していくなかで、キャリアというのは仕事だけに留まらず、親として、子として、市民として……など、さまざまな角度から考える必要があることを知りました。そのような気づきを糧に、まずは社内の専門家として知見を深めることに決めたのです。
日本の労働生産人口が減少しているなかで、メガネトップも特に店長職のミドルシニア層(特に45歳以上)の比率は増えています。彼らのパフォーマンスを停滞させるのではなく、いつまでも生き生きとキャリアを重ねてもらいたい。特に彼らは、10年前に私たちが売上高業界一位を達成した渦中にいた功労者であり、今後のキャリアを定年から逆算した引退モードではなく、若手を牽引してもらう存在であり続けてもらいたいわけです。そんな願いのもとに、相談させていただいたのがパーソルキャリアコンサルティングだったのです。
会社としてはもちろんのこと、パーソルキャリアコンサルティングとキャリアについてのディスカッションを進めていく中で、実は私自身も2023年にキャリアコンサルタントの資格を取得しました。自身が40歳を迎えいよいよミドルシニアに突入していくなかで、キャリアというのは仕事だけに留まらず、親として、子として、市民として……など、さまざまな角度から考える必要があることを知りました。そのような気づきを糧に、まずは社内の専門家として知見を深めることに決めたのです。
キャリア研修の内容
ベテランならではの貢献を意識したアクションプランを描いてもらいたい
まずは、「キャリアデザイン」という単語を初めて耳にするであろう従業員のリアクションに気を配りました。これまでに行われてきたスキル研修とはまた違った形の研修ということで、万が一でも「肩たたき研修」などと勘違いされては大変ですから、発信の仕方や伝わり方には慎重になりましたね。蓋を開けてみると、一部「私たちのような中高年にいまさら研修など必要なのか」という戸惑いの声も上がりましたが、大半は前向きに受け入れてくれたように思います。
まずは2023年に、トライアルという形で「40代中盤~50代の店長職社員」という条件のもと21名に対しキャリア研修を実施しました。この回の研修の目的としては、
①自分への肯定感を高め主体的キャリア形成の礎を築く=Will/Can/ Mustを自分の言葉で言語化する
②キャリア展望を明らかにし、これから身につけたいことを明らかにする
③新たな役割の目指す姿を明らかにし、アクションプランを作成する
といったものでした。結果として、そもそも手上げ制だったこともあり、「研修がその後の活動のプラスになっているか」というアンケートに対しては85%が、また「他の従業員にお勧めできるか」という問いには95%が肯定的な反応を示してくれました。
こうした結果を受け、2024年には「50歳到達者」という条件のもと大阪・博多・東京の従業員計105名を対象者に、キャリア研修を本格実施。基本的な目的は前回と同様とし、加えて「(若手とは異なる)ベテランならではの貢献を意識した活躍の姿を描き、アクションプランを作成する」というテーマを追加しました。
真の目的としては、50歳を迎え、下からの突き上げがあったり、パフォーマンスやモチベーションが低下してしまったりして、キャリアの見通しが不透明になっているメンバーに、自分らしい将来像を描いてほしいという狙いがありました。メンバーによっては店長職にこだわるだけでなく、自らの経験やスキルを伝承する役割を担うことで新たな役割や自己成長のきっかけを創出してもらいたいとも考え、研修のプランを作成しました。
まずは2023年に、トライアルという形で「40代中盤~50代の店長職社員」という条件のもと21名に対しキャリア研修を実施しました。この回の研修の目的としては、
①自分への肯定感を高め主体的キャリア形成の礎を築く=Will/Can/ Mustを自分の言葉で言語化する
②キャリア展望を明らかにし、これから身につけたいことを明らかにする
③新たな役割の目指す姿を明らかにし、アクションプランを作成する
といったものでした。結果として、そもそも手上げ制だったこともあり、「研修がその後の活動のプラスになっているか」というアンケートに対しては85%が、また「他の従業員にお勧めできるか」という問いには95%が肯定的な反応を示してくれました。
こうした結果を受け、2024年には「50歳到達者」という条件のもと大阪・博多・東京の従業員計105名を対象者に、キャリア研修を本格実施。基本的な目的は前回と同様とし、加えて「(若手とは異なる)ベテランならではの貢献を意識した活躍の姿を描き、アクションプランを作成する」というテーマを追加しました。
真の目的としては、50歳を迎え、下からの突き上げがあったり、パフォーマンスやモチベーションが低下してしまったりして、キャリアの見通しが不透明になっているメンバーに、自分らしい将来像を描いてほしいという狙いがありました。メンバーによっては店長職にこだわるだけでなく、自らの経験やスキルを伝承する役割を担うことで新たな役割や自己成長のきっかけを創出してもらいたいとも考え、研修のプランを作成しました。

キャリア研修の導入効果
新たなキャリアプラン構築とエンゲージメント向上に効果を発揮
キャリア研修を実施したことで最も実感できたのは、「ミドルシニアの従業員の多くは引退モードになっている」という一般論を、鵜呑みにしてはいけないということでした。研修を通して、少なくとも当社の従業員にはそうした志向のメンバーが実は少ないとわかったことは収穫でした。ただ一方で、だからこそ「ミドルシニア層は、会社がケアせずともうまくやってくれるだろう」という受け身な姿勢はよくないとも気づかされました。
印象的だったのは、特に店舗に立つ従業員のなかには「Will/Can/ Must」のうち、「Will=こうなりたい」について問われるとなかなか答えが出ないメンバーが多いという点でした。そう考えると、彼らにはいまとは別のステージに立つ姿を思い浮かべる余地はあまりないのかもしれないのです。
しかし、彼らが自身の役割をしっかりと認識し実行してくれることで、メガネトップが業界ナンバーワンシェアを維持し続けられていることに間違いはありません。「Willがない」と言えばネガティブに聞こえるかもしれませんが、見方を変えれば、彼らがいま目の前にある使命を全うすることこそがWillであるとも言える。この特徴こそが当社の強みであり、共通の企業理念が浸透している証拠であると気づかされた点も、研修の意義だったと感じています。
研修を終えた従業員の声もさまざまで、非常に興味深いものがありました。「これまで仕事でしか効果を得られなかった人生だったが、50歳を過ぎそれ以外でのライフキャリアをシミュレーションしていきたい」「自分の強みがわかったので、これからは独りよがりでなく後進に伝えるようにしていきたい」といった声が多く、研修の目的がしっかりと伝わっている、そんな手応えを感じられました。また特に男性社員の口から「研修を通して仕事だけがキャリアではないと知れた。これからは家族をもっと大切にしながら生きたいと思った」という声が聞かれたことも、従業員を超えて家族まで巻き込んだエンゲージメントの向上の萌芽が見られ、非常に嬉しく思っております。
印象的だったのは、特に店舗に立つ従業員のなかには「Will/Can/ Must」のうち、「Will=こうなりたい」について問われるとなかなか答えが出ないメンバーが多いという点でした。そう考えると、彼らにはいまとは別のステージに立つ姿を思い浮かべる余地はあまりないのかもしれないのです。
しかし、彼らが自身の役割をしっかりと認識し実行してくれることで、メガネトップが業界ナンバーワンシェアを維持し続けられていることに間違いはありません。「Willがない」と言えばネガティブに聞こえるかもしれませんが、見方を変えれば、彼らがいま目の前にある使命を全うすることこそがWillであるとも言える。この特徴こそが当社の強みであり、共通の企業理念が浸透している証拠であると気づかされた点も、研修の意義だったと感じています。
研修を終えた従業員の声もさまざまで、非常に興味深いものがありました。「これまで仕事でしか効果を得られなかった人生だったが、50歳を過ぎそれ以外でのライフキャリアをシミュレーションしていきたい」「自分の強みがわかったので、これからは独りよがりでなく後進に伝えるようにしていきたい」といった声が多く、研修の目的がしっかりと伝わっている、そんな手応えを感じられました。また特に男性社員の口から「研修を通して仕事だけがキャリアではないと知れた。これからは家族をもっと大切にしながら生きたいと思った」という声が聞かれたことも、従業員を超えて家族まで巻き込んだエンゲージメントの向上の萌芽が見られ、非常に嬉しく思っております。

今後の展望
従業員のキャリア自律を応援する企業体として能動的に働きかけていく
研修を通して、またキャリアコンサルタントとして私が感じていることは、ミドルシニアにとってキャリア自律はとても大切ですが、言わずもがな、ライフキャリアを営むすべての人にとって必要不可欠なものだということです。一昔前までは、企業側が「ここにレールを敷いておいたので、この上を進みなさいよ」というようにキャリアを提示していたので、レールの先に思い通りのゴールがなかった際には、従業員は企業のせいにすることができました。
しかしキャリア自律の時代においては、「自分の望むように軌跡をつくりなさい。企業はそれを支援するが、責任を持つのは自分自身ですよ」というように、企業と個人の関係性が対等になっています。私はこの考え方に大きく共感しています。すべてのビジネスパーソンがこの意識を持つことができれば、自分の境遇を誰かのせいにするような「被害者」はいなくなっていく。責任を持って自らのキャリアを設計できる人材を多く輩出し、メガネトップとしてはそれを応援できる企業体になっていきたいのです。
今後は、キャリア研修を自社内製していくことも考えています。それを見据え、私のほかにもキャリアコンサルタントの資格者を増やしていくことも視野に入れています。とはいえ、すべてを社内で完結させることは、井の中の蛙になってしまうリスクも孕むことになりますから、パーソルキャリアコンサルティングさんとは今後も連携をとりつつ、引き続きアドバイスを仰いでいくつもりでおります。研修で教えていただいた通り、キャリアというのは仕事だけではなく、あくまで人生の一部です。今後も従業員がキャリア自律のマインドセットを持てるよう、働きかけを継続していきたいと考えています。
(2024年8月取材)
しかしキャリア自律の時代においては、「自分の望むように軌跡をつくりなさい。企業はそれを支援するが、責任を持つのは自分自身ですよ」というように、企業と個人の関係性が対等になっています。私はこの考え方に大きく共感しています。すべてのビジネスパーソンがこの意識を持つことができれば、自分の境遇を誰かのせいにするような「被害者」はいなくなっていく。責任を持って自らのキャリアを設計できる人材を多く輩出し、メガネトップとしてはそれを応援できる企業体になっていきたいのです。
今後は、キャリア研修を自社内製していくことも考えています。それを見据え、私のほかにもキャリアコンサルタントの資格者を増やしていくことも視野に入れています。とはいえ、すべてを社内で完結させることは、井の中の蛙になってしまうリスクも孕むことになりますから、パーソルキャリアコンサルティングさんとは今後も連携をとりつつ、引き続きアドバイスを仰いでいくつもりでおります。研修で教えていただいた通り、キャリアというのは仕事だけではなく、あくまで人生の一部です。今後も従業員がキャリア自律のマインドセットを持てるよう、働きかけを継続していきたいと考えています。
(2024年8月取材)