パーソルキャリアコンサルティング
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事例紹介

ミドルシニア層と若手層の
世代間ギャップに向き合う

ファスフォードテクノロジ株式会社

従業員が笑顔になるように。起点となる研修設計

「働き方」や「仕事に対する価値観」は大きく変容しつつあります。変化に伴い、キャリアを振り返る機会の提供や、
組織の目標と個人の目標をリンクさせる目標設計など、従業員への企業の果たすべき役割も変化しつつあります。

ファスフォードテクノロジ株式会社は、ミドルシニア層と若手層の間にある意識の差、
若手従業員が抱える将来への不安など、組織の年齢構成が与える課題やコミュニケーション改善に取り組んでいます。
2020年の従業員満足度調査の結果を受け、新入社員向けのキャリア研修を導入。
以降、入社2年目の社員を対象としたフォローアップセミナー、25~35歳を対象とした若手向けキャリア研修、
そして部課長向け価値観を活かしたコミュニケーション研修と、
年齢層や立場にあわせたキャリア研修を実施してきました。

新人・若手・管理職と、年齢層に応じたキャリア研修は、組織にどのような変化をもたらしたのか。
実施の経緯や研修結果、今後の展望について、同社の総務部 部長の澤登浩之氏に話を伺いました。

ファスフォードテクノロジ株式会社

澤登 浩之 氏 総務部 部長
日立グループ会社(現ルネサスグループ)に入社以来、各異動先で人事総務業務の経験を積む、50歳前に日立グループを退社し、2020年に出身地のファスフォードテクノロジに入社、現職にてES向上、キャリアサポートの仕組みを行う。

世代間ギャップが生む若手層の漠然とした不安が浮き彫りに

組織改善計画を立てるにあたって、現状を把握するための従業員満足度調査を実施しました。
どのような調査をすべきか考えた際に、あえてカスタマイズせず一般的な項目で実施しました。まずは組織の課題を客観的に捉えることが最優先事項だと考えたためです。

調査結果から分かったのは、若手の従業員を中心に多く寄せられた「将来への不安」です。従業員同士のチームワークが要となる職場で、安心して今ある業務に集中できないことは深刻な問題だと捉えました。

この不安の根幹にある原因を、「若手層」と「マネジメント層」の双方の視点から探るため、従業員全員と面談の機会を設けました。そこから見えてきたのは、私たちの組織が持つ特性にも結びついた課題です。

私たちは過去に採用を停止していた期間が長く、30~40代の従業員がそれほど在籍していません。2015年以降採用を再開し、念願の新入社員が入社したのはよかったのですが、20代と50代に年齢層の偏った組織となっていました。
そのため、若手社員は中堅社員が少ない環境下で、5年後には退職を迎えるベテランの背中しか見えないことに不安を感じていたのです。

年齢差によって生じる “違い”は、さまざまな問題に紐づいています。マネジメント層への面談では、若手の反応が薄いことや、仕事とプライベートの優先順位の付け方が違うことなどに戸惑う声も聞こえてきました。
また、若手が重視している人事評価基準も、マネジメント層の社員はそれほど重視していませんでした。というのも、若手は評価に対して疑問を持つことなく、ただ業務に集中してくれるものだという思い込みがあったからです。

従業員満足度調査や面談を通じて明らかになったこれらの問題を解決していくために、私たちは若手とマネジメント層の間にある意識差を縮めるためのアプローチの検討を始めました。

「人」としての成長につながるアプローチを早い時期に実施しておきたい

従業員満足度調査や面談の結果から経営陣とのディスカッションを経て、「人」としての成長につながるアプローチを早い時期に実施しておきたいと考えました。

研修プログラムの検討をはじめ2021年パーソルキャリアコンサルティングのキャリア研修を導入しました。選定したのは、相手の立場に立ち、課題に適したソリューションを提供してくれる姿勢を高く評価したからです。すでにある研修プログラムに課題を当てはめて提案いただく研修会社が多いなか、パーソルキャリアコンサルティングは、調査結果を読み解き、本質的なコミュニケーション課題を解決するための研修プログラムを提案いただいたことが印象的でした。

さらに、パーソルキャリアコンサルティングの担当者が、発注有無を問わず勤務場所まで何度も足を運んでくれました。打ち合わせの延べ時間も長く割いていただき、その中で当社を知り尽くし、問題や取り組みを整理してもらったのです。こうした背景から、組織の今後の方向性をビジュアル化してくれている感覚を持ちました。

成長している実感が、自分らしい働き方につながる

新入社員向けの研修は、「キャリア」のアプローチから新入社員としての心構えを整えること、社会人としての「姿勢」「態度」などを育むことの大切さを理解すること、「人」としての成長を意識できるようマインドを整えることを目的とました。

ゲーム性の高いワークを取り入れ、研修への興味関心を維持する工夫を盛り込んでいます。

新入社員研修の翌年にはフォローアップとして、自身の1年間の取り組みを振り返り、コミュニケーションのポイントやさまざまな変化をうまく「活用」する姿勢の大切さを学ぶ研修として、入社2年目の研修を導入しました。

まだ自身の強みを把握しきれないビジネスパーソンは、同年代の友人などと比べて自身の成長速度が遅いのでは、と不安に思うことも少なくありません。向かうべき方向を示唆することが、自分らしい働き方につながると考えています。

各従業員の「気付き」が組織の未来を変えていく

私たちの組織には30~40代の中堅社員が少ないため、あと5年もすると50代のベテラン社員が軒並み定年を迎えるという現実的な問題を抱えています。

そのなかで次世代リーダーを担う若手向けの研修では、裁量権を持って働くイメージをつかんでもらうべく、今までの成長を確認するとともに、さらなる成長課題を見定め、これからの取り組みにつなげられるように研修内容を設計しました。

若手向けの研修から分かったことは、社員が想像以上に真剣だったということです。研修時間の制限があるなかで一生懸命かつ積極的に取り組み、自己表現してくれた結果、「組織の将来をもっと知りたい」「もっと任せてほしい」という明確な意思が心中にあることを知りました。研修結果を通じて、今後どのようなサポートが必要なのかが分かり、収穫の多いトレーニングとなりました。

また、部課長向けの研修も実施しています。良いマネジメントが将来的な好循環の起点になるように、相手の価値観を認めながら、効果的にコミュニケーションを行うヒントを学ぶ研修としました。キャリアアンカーというアセスメントツールを用い、自分のキャリア観を知る機会を設けることで部下へのキャリア支援を振り返るよう促しています。

コミュニケーション課題へのアプローチは、研修以外にも人事考課のトレーニングに年単位で取り組み、部下との対話の円滑化を目指しています。短期的な変化を期待するよりも、部課長が得た気付きを通じ、自律的に部下とのコミュニケーションを改善するよう働きかけることに注力しているのが今回の取り組みの特徴です。

地道なトレーニングの積み重ねがマネジメント層の意識変革を促し、将来的な人材育成の糧となることを願っています。

ロードマップはあえて引かず、理想とする組織を実現していく

研修を受けた一部の技術職の従業員を集め、次世代の製品づくりに注力する課を創設します。この課は研修結果を参考に生まれたチームであり、今後の会社をリードしていくリーダーが活躍する場としての機能も果たします。こうした次世代につながる取り組みにつなげられたことも、今回の研修の大きな成果でした。

私たちの掲げているバリューの一つに「笑顔をつくる、笑顔でつくる」がありますが、この理念が実際の現場で日ごろから意識されているかというと、必ずしもそうではありません。この理念に立ち返る機会をつくるためにも、キャリア研修という場を活用していきたいです。

また、このバリューを最終的に実践し続ける組織をつくることが何より重要であり、そのプロセスとなるロードマップはあえて詳細に引かないほうがいいと考えています。研修実施とその結果の分析、弱みの可視化というPDCAサイクルを回し、理想とする組織の実現へと少しずつ近づいていくことを目指します。

(2023年3月取材)

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