パーソルキャリアコンサルティング
パーソルキャリアコンサルティング
  1. 企業向けページTOP
  2. セミナー/コラム
  3. キャリアカウンセリングとは?効果や内容、キャリア開発支援の企業事例を解説

キャリアカウンセリングとは?
効果や内容、キャリア開発支援の企業事例を解説

新型コロナウイルスの感染拡大や、それに伴うデジタル化の加速など、急速かつ広範な社会・経済の変化を背景に、2022年に職業能力開発促進法が改正されました。そこでは、事業主によるキャリアコンサルティングの機会確保の責務が強化され、労働者のキャリアアップや職業能力の開発促進が図られることとなりました。

また、少子高齢化や人口減少に伴う組織の高齢化や、キャリア自律・リスキリングなど従業員へのキャリア支援を求める世の中の流れなど、キャリアに関わる課題の対応策として、従業員のキャリアに対して相談や支援・サポートをする企業内のキャリアカウンセリングの需要が増えてきています。

企業の役員や人事部の方の中には、キャリアカウンセリングの重要性は理解しつつも、そこに予算や人員を割けない、といった悩みを持っている場合も少なくありません。

また、パーソルキャリアコンサルティングの人事部向けのアンケート調査では、キャリアカウンセリングを実施していても、カウンセラーの質に課題を感じていたり、カウンセリングの効果測定ができていないなど、複数の課題が複雑に絡み合っていることがわかってきました。

そこで本記事では、ミドルシニア世代を中心にキャリアカウンセリングの意義や期待される効果や、実際にキャリア開発支援に取り組んでいる企業事例を交えながら解説していきます。

従業員のキャリア開発について情報を集めていたり、キャリアカウンセリングを導入検討されている企業人事部の方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

キャリアカウンセリングとは?

キャリアカウンセリングは、自己の成長や将来のキャリア開発の必要性について改めて考えるとともに、悩みを自由に相談できる機会全般を指します。

ひとことで「キャリア」と言っても、仕事やプライベート、理想の働き方など形成される要素は人によってさまざまです。なかなか仕事がうまくいかずに悩んでいる方であっても、キャリアカウンセリングを受けることが自分の持ち味や強み、やってきたことの再確認となり、会社で活躍するきっかけとなり得ます。

キャリアカウンセリングの基本は、「話を聞いてもらえてよかった」から、さらに一歩踏み込んだコミュニケーションを取ることで、相談者の行動変容を促すことです。そのアプローチは、キャリアアップへの後押しとなるカウンセリング、焦燥感へのカウンセリング、傾聴をベースにしたカウンセリングなど様々です。

企業でのキャリアカウンセリングの実施体制は、企業規模を問わずカウンセリングに対応する部署の設置が進んでおり、運営スタッフを自社・カウンセラーを外部委託とする体制が最も多いパターンです。

自社でカウンセラーを育成する場合は、カウンセラー自身が組織への理解度が高いことがメリットとなり、外部委託をする場合は、数多くの企業のケースに触れているカウンセラーが、知識と経験量が豊富で広い視野(外部労働市場の視点など)をもってカウンセリングできるという強みがあります。それぞれのカウンセラーの特性を踏まえ、実施体制を検討することが大切です。

 

キャリアカウンセリングが必要とされる背景とは?

実際にキャリアカウンセリングがこれまで以上に求められている背景は何なのでしょうか。
労働環境や働き方の変化からみえる主な背景を2つご紹介します。

従業員と企業の関係性の変化

キャリアカウンセリングの需要が高まっている背景のひとつとして、従業員と企業の関係性の変化が考えられます。
かつての日本では終身雇用制度が根強く、同じ企業で長く務めることが美徳とされてきました。賃金形態も、年を重ねるごとに賃金が上がっていく「年功序列制度」を採用している企業が多く、自社で雇うことの保障として、ひとつの企業で定年まで働き続けるという個人と企業が1対1の関係性です。

現在は、定年後再雇用など雇用形態の変化、副業など多様な働き方の浸透、社外人材/アルムナイ/中途社員の活用などがあり、個人と企業が必ずしも1対1の関係ではなくなりつつあります。

従業員に対しての企業の役割が、雇い続けることから、社会で活躍し続けられるよう支援することへと変わってきているのではないでしょうか。

そういった変化にともない、キャリア自律の促進や従業員のキャリア選択のサポートを目的とする取り組みが増え、そのひとつとしてキャリアカウンセリングが注目されています。

人生100年時代に何を学ぶのか/多様なキャリアの選択肢

もうひとつの背景は、多様なキャリアの選択肢の存在です。個人が自分の価値観や強み、スキルに合ったキャリアを見つけることが重要となっており、それと同時に、現在は将来の予測が困難なVUCAの時代であり、急速な技術革新によって生まれた新たな職種やスキルが求められている状況です。

その中で、リスキリングに政府が5年で1兆円を投じると表明するなど、社会人の学びが改めて注目されています。

一方でミドルシニア世代にフォーカスすると、年代による出世に対する意識の変化は顕著で42.5歳を境に出世に対する成長意欲が逆転します。さらに、役職定年前後では、重要な仕事を若手に回す傾向となり、チャレンジ精神の低下・モチベーションの低下、喪失感などを招きやすいことがわかっています。
その他にも、70歳までの就業機会確保が求められるなど、企業の定年制度は延長され40歳以降の就業期間は伸びていく傾向にあり、ミドルシニア世代は、これまでと変わらない価値提供や残りの就業期間を見据えた新たな価値発揮が求められています。

多様なキャリアを選択できるようになり、新しい職種やスキルを求められる中、ミドルシニア世代が抱える課題は多岐にわたります。自らのキャリアを考える上で、キャリア相談の場としてキャリアカウンセリングが必要とされています。

出典:株式会社パーソル総合研究所/法政大学 石山研究室「ミドル・シニアの躍進実態調査」より

 

キャリア カウンセリングで期待される効果とは?

では実際、キャリアカウンセリングで期待される効果にはどのようなものがあるのでしょうか。厚生労働省による「平成29年度能力開発基本調査」では、自らのキャリアについて相談した労働者のうち約9割が、キャリアコンサルティングが役に立ったと回答しています。

役立った内容としては、「仕事に対する意識が高まった」とする人の割合が多いほか、正社員では「自分の目指すべきキャリアが明確になった」、「自己啓発を行うきっかけになった」といった回答が、正社員以外では「現在の会社で働き続ける意欲が湧いた」などが挙がっています。

キャリアカウンセリングで期待される効果について、ここでは4つの項目に分けて、見ていきたいと思います。

1.満足感と自己理解

独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った調査によると、キャリアに関する相談を専門家に相談した経験がある人の方が、「仕事内容」「職場の人間関係」「職業生活全般」のすべてにおいて満足感が高い調査結果が出ています。

キャリアカウンセリングを受けることで、自己理解を深めるきっかけとなったり、組織での役割や社会/外部の労働環境について理解が深まることによって、自分自身に合った業務/仕事に対して前向きに取り組むことが期待できます。

自身の潜在的なキャリアへの意識に気が付くことや、日々の仕事やスキルアップの機会を通して視野を広げることが、自身のキャリア形成を考えることにつながると言えるでしょう。

2.具体的なキャリアプランと目標設定

自己理解が深まるということは、自身の将来のキャリアプランを描きやすくなるとも言えます。キャリアカウンセリングだけでなく、研修や上司によるキャリア面談など、キャリアを支援する取り組みを複合的に組み合わせることで、周囲からの期待を理解できたり、より具体的なキャリアプランを描き、明確な目標設定ができるようになります。

希望するキャリアの道筋が見えてくることにより、必要な知識・資格の習得や仕事の選択を行うなど、日々の行動にも変化が見られるようになるでしょう。

3.長期的な視点での定着率

キャリアカウンセリングでは、従業員のスキルと目標設定に対して、スキルギャップが浮き彫りになることがあります。組織側はこのスキルギャップに対して必要な教育プログラムや支援する取組みを提供することで、従業員の望むキャリアプランをサポートすることができ、また従業員が自己成長の過程で組織とつながりを感じるため、従業員満足度が高まります。

その他にも、従業員自身が自分の大切とする価値観を把握することで、企業のビジョンや経営理念との重なりを明らかにでき、その重なりが長期的な視点で企業にとどまりたいという思いにつながり、定着率の向上が期待できます。

4.組織の問題点や実態の把握

キャリアカウンセリングのプロセスを通じて、個人は、自分のキャリアに関する価値観や希望を話すことができ、組織側もそれに対してサポートすることができるようになります。

また、そういったサポートを繰り返すことで、従業員の課題や希望を収集でき、組織として、本質的なキャリアサポートのための問題点や実態を深く把握することにつながります。キャリアカウンセリングで得たデータは、組織の改善や人事戦略の検討の際の重要なデータとなります。

 

【年代別】キャリアカウンセリングの設計

キャリアカウンセリングの設計において重要な要素は、対象の社員の年齢や役職、職種、これまでどのようなキャリアを築いてきたのか、組織の状況や抱えている課題など、様々です。

今回は年代別を例として40代・50代・60代とミドルシニアを対象に、キャリアカウンセリングを設計するにあたって必要なカウンセラーの関わり方について考えてみました。

40代

人生の折り返し地点での漠然とした不安を持つ時期にさしかかり、現業務の脱マンネリに加えて、あと20年程あるキャリアライフをなんとなくすごさないようにキャリアデザインを見直すことがポイントとなります。

自身の成長につながる気づきを与え、行動変容を促すカウンセリングが重要です。今後のキャリアの変化に柔軟に対応できるよう、自身の強みや持ち味を再確認してもらうような関わり方を心掛けます。

50代(役職定年前)

社内のベテランポジションとして、役職定年でキャリアが終わるのではなく、引き続き必要とされる高い存在価値のある人材としての意識転換が求められる50代。この役割だからこそやるべき事と、出来る事を求められる期待とを紐づけて、自律的な行動へ踏み出すことを促すカウンセリングを行います。

また、キャリアのゴールに向けて、さまざまな角度からこれまでのキャリアを再評価して、広い視点でキャリアのビジョンを描いてもらうことがポイントです。

60代(役職定年/再雇用前後)

これからをどう生きるか、人生のセカンドステージに向けて、多様な生き方・働き方を見直し、意識転換を図って、新たな役割を見出すためのカウンセリングを行います。

定年再雇用や65歳定年など、引き続き組織の中での活躍が期待される一人ひとりが、それぞれのモチベーションポイントを探り、自身のキャリアを再設計できるようなサポートが大切です。

 

ミドルシニア人材の躍進を支援する企業事例

ミドルシニア世代に対し、先に迫る人生を見据えて「キャリア自律」し、理想のライフキャリアプランを描ける人材になってほしい。そんな思いからパーソルキャリアコンサルティングと連携し、積極的な取り組みを進めているのが、ライオン株式会社様の事例です。

テレワークやフルフレックスなど、物理的なワークスタイルの改定と併せて、「自由な働き方を実現するためには、キャリア自律が必要」という考えのもと、社員がキャリア自律して最良な働き方を見つけていけるよう、セミナーやキャリア相談などを体系化する取り組み(キャリアデザイン・サポート)を始められています。

→ライオン株式会社様の事例

 

なりたい姿を具体的に思い浮かべられるのか

キャリアカウンセリングは独立した施策として実施するよりは、研修や人事制度などキャリア支援の全体像を描き、適切な対象者に対して適切なタイミングで実施していくことが重要となります。

また、「キャリアアップをしたい」と意欲のある方や、反対に年齢を壁に焦りや今後のキャリアプランへの不安を抱いている方、女性としてのライフイベントに合わせたキャリア設計を考えたい方など、対象者それぞれの状況や悩みが個々で異なるため、まずは傾聴をベースに信頼関係を構築しながら、カウンセラーと対象者で共に向き合っていくことも大切です。

今、キャリアカウンセリングの内容の見直しや、導入の検討をされている企業人事部や役員の方は、この記事を読んで気になったポイントがあれば、まずは、私たちパーソルキャリアコンサルティングに、ぜひご相談ください。

 

(出典)
・パーソルキャリアコンサルティング「キャリアカウンセリングに関する調査
・特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会 「キャリアコンサルティングの現状と課題
・産業人材政策室「「人生100年時代」の企業の在り方~従業員のキャリア自律の促進~
・厚生労働省「キャリアコンサルティングの活用・効果
・独立行政法人労働政策研究・研修機構「JILPTリサーチアイ 第21回 キャリアコンサルティングの効果に関するエビデンス
・株式会社パーソル総合研究所/法政大学 石山研究室「ミドル・シニアの躍進実態調査

キャリアカウンセリングに関するお問合せ

電話でのお問合せ

03-6311-6471 (平日 9時~17時30分/土日祝、年末年始は除く)


インターネットからのお問合せ
お問合せはこちら