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キャリアデザイン研修とは?
40代、50代、年代別の目的・事例を紹介

経済産業省の『「人生100年時代」の企業の在り方』の中で「生涯を通じた高付加価値労働」の実現のために個人がオーナーシップを持ち、社内外の広い選択肢を視野に入れてキャリア開発することが必要であると取り上げられています。

企業において、年齢を問わない生産性の向上への取り組みや環境変化に強い人材の育成など、キャリア開発支援の必要性が注目されています。

特に近年の傾向として、ミドルシニア人材の課題に対して取り組みを見直す企業が増えてきました。パーソルキャリアコンサルティングが行った人事部門へのアンケート調査では、キャリア研修の今後の課題について質問したところ、若年層向けよりもミドルシニア層向けの研修へ課題を感じる企業が多く、多くの企業で研修内容の見直しを実施・検討しているという結果が出ています。

また、既存のキャリア研修プログラムの見直しや、キャリア自律支援の全体像を描くためのご相談も徐々に増えてきました。

本記事では、従業員のキャリア開発の取り組みのひとつである「キャリアデザイン研修」についてご案内いたします。

 

はじめに:キャリア研修の現状課題について

年代ごとのキャリア研修の実施状況をみると、新人・若手向けの研修の実施率が最も高く、対象年代が上がるごとに実施率は減少し、特に50代と60代の実施率が低いという調査結果が出ています。

また、ミドルシニア向けの研修を実施している企業においても、年代が上がるごとに研修の効果実感が低いという結果が出ており、研修プログラムの効果を高めるための見直しが求められていることがわかります。

出典:パーソルキャリアコンサルティング「キャリア研修に関するアンケート調査」

これまで新入社員研修や次世代リーダーの育成が中心で、中高年のキャリア開発の取り組みに力を入れていなかったり、実施しているとしても研修内容を10年以上変えていないなど、ミドルシニア世代のキャリア研修の効果実感が低い理由は企業ごとに様々かと思います。

しかし、40代、50代、60代の中高年社員の活躍が、若手従業員の就労意識に良い影響を与え、転職意向を抑制するなど、組織全体の活性化にもつながります。

組織の高齢化による中高年の生産性向上が避けられない課題になってきている中、キャリア開発支援のロードマップを描き、従業員のキャリア自律を促す取組みを継続して実施していくことが大切だと、我々は考えています。

 

キャリアデザイン研修とは

キャリアデザイン研修とは、自身がどうありたいのかという視点と組織からの期待や外部環境の動向を踏まえ、スキル・興味・価値観などの自己認知と現在と将来のキャリアについて考え、目指す姿への行動につなげるための研修プログラムです。

研修を受けることで、内面からの意欲喚起、行動変容・強化・問題解決につながります。理想のキャリアを実現させるために、今自分が何をすべきか考え、これからのアクションや行動についても考える貴重なきっかけになります。

目指す姿が明確になることで、世代問わず、働いている社員1人ひとりが以前よりやりがいを感じて仕事に取り組めるようになり、結果として、キャリアを自分ごととして考える自律型人材の育成、従業員の満足度・モチベーションアップ、従業員の定着率向上など多数のメリットが生じます。

 

キャリアデザイン研修が注目される背景

続いて、なぜキャリアデザイン研修が注目されているのか、その背景について解説していきます。

1.変化の激しい時代であること

キャリアデザイン研修が求められる理由のひとつが、時代の変化の激しさです。今の時代は、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性をあらわす「VUCA」(= Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの略)の時代であると言われています。

この時代を取り巻く環境は、この20年間で大きく変化しており、2000年頃はIT革命によって、産業構造が大きく変化し、2020年頃には新型コロナウイルス感染症の流行によって、これまでの常識が通用しない社会となりました。

このような時代の変化の激しさに伴い、企業は「VUCA時代」に順応できる、変化に強く柔軟性の高い組織づくりが必要となります。

そのため、ビジネス環境の変化、従業員各個人が自分のキャリアを考える必要性や機会も増え、企業でのキャリアデザイン研修の在り方もこれまでと同じものでなく、変化させていく必要があります。

2.労働市場の変化

時代の変化に伴い、労働市場も急速なスピードで変化しています。

例えば、デジタル化の促進によって雇用が二極化しており、スキル別の就業者割合の変化をみると「事務補助員」や「技能工及び関連職業の従事者」、「設備・機械の運転・組立工」などの職で減少が始まっています。

雇用形態も多様化しており、家庭環境に応じた短時間勤務制度など柔軟な働き方の選択肢が増加したり、就職段階においても「限定」正社員への選択意欲が増加するなど、もはや終身雇用が当たり前ではない時代になったとも言えます。

さらに、人口動態の変化や、「定年」が70歳まで努力義務として引き上げられるなど、ミドルシニア世代への影響も顕著です。

このように労働市場が大きく変化している今こそ、従業員と企業の関係の再構築が求められているのではないでしょうか。

3.働き方の多様化

雇用形態も多様化にあわせて、令和時代に入り、リモートワークや在宅勤務など、場所に縛られずに働く人が増えてきています。

2022年の厚生労働省の調査によると、全就業者におけるテレワーカー(雇用型テレワーカー)の割合は、全国で26.1%の数を占めていることがわかりました。

また、副業を行うことを容認している企業の割合は増加傾向にあり、個人が理想とする働き方を選べる時代になってきました。

その結果、自分のキャリアをどのように考えるのか、自分がどうありたいのかなど、自分のありたい姿を多様な選択肢を踏まえて描くことができ、その姿に向かって現実的な行動をすることができる時代になったとも言えるのではないでしょうか。これらの事柄から、企業としてどこまで従業員のキャリアを支援するのか考える必要があるとも言えます。

 

キャリアデザイン研修の3つの効果

それでは実際に、キャリアデザイン研修を受けるとどのような効果が感じられるのでしょうか。キャリアデザイン研修を設計する際に、期待できる効果を3点ご紹介いたします。

1.主体的な学びが促進される

キャリアデザイン研修では、自己理解を深めるためのワークや自己評価、自分の強みや興味を明確にするアセスメントを、自分自身で振り返り、グループワークやカウンセリングを通じて自ら気付くというプロセスで行います。

与えられたキャリアや設定されている組織目標に対して行動することとは違い、自分自身で考えた目指す姿のため、日々の行動や学習に意識的に取り組むことができたり、興味や能力にあった新しい分野の発見をするなど、成長に対する意欲を高める結果となるでしょう。

2.満足度・モチベーションアップにつながる

キャリアを振り返る機会を得られたことだけでなく、目標の明確化で自分の仕事に意義を見出したり、研修によって得られた新しい知識・強みを業務に活かすことで、行動として結果が表れ、会社や仕事に対する満足度やモチベーション向上が期待できます。主体的な成長への行動は、チームや組織の目標達成への貢献にもつながります。

3.従業員の定着率向上

主体的な成長への行動による満足度が高まるだけでなく、従業員のキャリアビジョンが明確になることは、組織の制度活用やその他の同僚とのコミュニケーションの中でも、その人の希望に沿ったサポートをしやすくなります。

適切なキャリアへのサポートは、従業員の会社へのエンゲージメントを高め、その結果として離職率も抑制することができます。

 

【年代別】キャリアデザイン研修の目的

キャリアデザイン研修の目的は、対象者個人の課題と企業側(組織)の期待の両面で考える必要があります。ここでは、40代・50代前半・50代後半の3つに分け、それぞれの目的について解説します。

年代ごとにカテゴライズすることが正しいということではなく、組織の状況や人事制度、企業風土、それまで培ってきた個人のキャリア感などによってカテゴライズの仕方は様々ですので、ひとつの参考としていただければ幸いです。

40代

同年代での役職・報酬の差がではじめる40代のキャリアデザイン研修の主な目的は、自分自身の強み・持ち味を再確認し、これからのキャリア変化に備えて幅広い視野を持ってキャリア形成を考えていくことです。

環境変化がキャリアへ影響することを自覚することや多様な選択肢への意識を持ち、自身のキャリアに対する視野・可能性を拡げることが大切です。

50代前半

役職定年を控える50代前半では、能動的な選択につなげるために、役職定年・定年などの節目に向けて様々な角度からこれまでのキャリアを再評価し、広い視野でビジョンを描くことが重要です。

キャリアゴールを意識し、予期しない出来事への準備の必要性に気付くこと、ライフキャリアの視点も意識して、キャリアを再設計することが目的となります。

50代後半

役割転換・定年後の生活への準備が控える50代後半では、再雇用前後での仕事・役割の変化に備え、今後のライフキャリアを考えることが目的となります。

キャリアデザイン研修を通じて、引き続き組織で活躍できるように、学びの継続意欲を持ち、貢献領域を広く検討できるようになること、セルフモチベートポイントを探り、自身のキャリアを展望するプログラムが必要です。

 

キャリアデザイン研修の事例

従業員のキャリアに寄り添った、長期的な支援を提供している住友電装株式会社様の事例をご紹介します。

同社は、2013年からパーソルキャリアコンサルティングのキャリア研修を導入し、継続的な実施を通じて研修の対象者範囲を拡大。

現在では「55歳基幹職」「55歳総合職・一般職」「45歳基幹職」「45歳総合職・一般職」と幅広い層に研修を実施しています。

入社から退社までのキャリアロードマップを策定するなど、「ミドルシニアの活性化」を通じて、組織全体を盛り上げていく施策を実施している会社です。

→住友電装株式会社様の事例

 

より良い循環を生み出す取り組みとして

ミドルシニア世代へのキャリアデザイン研修の意義や目的、事例について解説しました。時代や働き方の多様化に伴い、これまで以上に自分のキャリアについてより一層深く考える人が増えていくでしょう。

社内で働く一人ひとりが、自分の強みや持ち味を認識し、理想のキャリアを描くことで業務への意識向上や、学びの意欲向上にもつながります。

また、企業側も従業員の特性を把握することで、最適な人事配置や適切な目標設計など、より良い循環を生む関係性を構築するサポートができるようになるでしょう。

どのような研修を実施することが正解なのか、誰に対してどのような効果を期待して研修を企画したら良いのか、キャリアデザイン研修の内容を改めて検討されたい人事部の方や、既存の研修を見直されている役員の方など、ぜひ、パーソルキャリアコンサルティングにお問い合わせください。

ご相談については、キャリア自律支援の全体像の設計から承ることが可能です。キャリアデザイン研修に関する資料も無料でダウンロード可能ですのでご検討ください。

 

(出典)
・パーソルキャリアコンサルティング「キャリア研修に関するアンケート調査
・国土交通省「 令和4年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果(概要)-
・経済産業省「 労働市場の構造変化に伴う 人材育成の現状と経済産業省の取り組み
・経済産業省・産業人材政策室「 「人生100年時代」の企業の在り方~従業員のキャリア自律の促進~

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